日別アーカイブ: 2019年2月6日

みんな居場所を探してる

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幼稚園の卒園アルバムの思い出。みんなそれぞれの「しょうらいのゆめ」を書いたのだが、担任教諭に後日母とともに呼び出された。「こんな夢のないこと書いたのあなただけ」「みっともない」「私のクラスだけこんなみすぼらしいの、恥ずかしくて載せられない」「こんなの夢じゃない」「何かあるでしょう!?」「とにかく書き直して」。思い出して文字にしてみたら結構すごいこと言われてるw 「何だっていいから!」と言いつつ、受理した後まで「こんなの」と文句をつけていたなー。
最初に何と書いたと思います?

   おかあさんになりたい

・・・そんなに変でしょうか、ね。
最終的に、嘘を書かされた。会話で方便を使うことさえ罪ではないかと恐怖する年頃だ。文字で嘘を書き残すというのは個人的には魂がズタズタにされた大事件だった。担任は、髪型や化粧で芸能人を真似ている(当時の)今どきの若い人、仕事のほかにもすることやしたいことがある感じの20代の女性だった。「しかたない」と感じたし、「無理だったろうな」と思う。彼女がいま幸せでいてくれたらそれでいい。面倒は見ても幼稚園児の人権など認知されていない、そういう時代だったから。

あの時「『おかあさん』になりたい」と書いていたら、もう少し伝わっていただろうか。

「しょうらいのゆめ」はずっと変わっていない。
語彙が少なくて「おかあさん」としか表現できなかった私の夢。
気持ちよく乾いた風が通りぬける、穏やかなあたたかい家庭をずっと願っていた。そんな場所をつくりあげて維持する存在になりたかった。

維持することに終わりはない。5文字に込めた小さくて大事で欲ばりな祈りを、私は今も抱き続けている。