2019年5月1日からの日本の新元号が「令和(れいわ)」に決定されました。
おめでとうございます!
とてもよいものに決まったと思います。正確な詳細は各自ニュース等でご確認いただきたいのですが、初めて国書「万葉集」から採用されたそうです。最初に文字だけ見た瞬間に「令のもとに和する」と降りてきて、何か祓われたようなとても清浄な感じを覚えました。もしかしたら選定に当たられた方達が新元号に込めたお気持ちかもしれませんね。
元号に関する有識者懇談会の皆様とお名前は出さない方々、本当に素晴らしい仕事を成されました。
文字のたたずまいも、
音の響きも、
出典も、
採用の根拠とそこに込められた思いも。
パーフェクト!
もうひとつ、文字の親しみやすさ(書き易さ、覚え易さ)も。
「万葉集」の梅の花を詠んだ歌を集めたくだりから、と聞きました。
梅もまた日本人にはなじみの深い花ですから、それぞれに思い出される梅の木があることと思います。日本の梅の名所、となるとやはりその規模から熱海梅園を思い浮かべる方が多いのでしょうか。今回の選定の理由から考えると茨城県の県都、水戸市にある偕楽園が個人的にはよりfitする感じです。幕末の事情から皇室と縁の深い水戸藩です。
脱線して少しだけ。偕楽園は「民と偕(とも)に楽しむ」場として幕末近くの時の藩主、
徳川斉昭公によって造園されたものです。兼六園、後楽園と並んで日本三名園で、とても素敵なところです。是非お運びくださいと申し上げたいところではありますがせめて写真だけでも、いややはり設計理念なども知ってほしい、お時間等に余裕のある方はどうぞご覧になってくださいませ。徳川斉昭公も水戸の黄門様、光圀公と並んで神として奉られ(神社の祭神様なのです。日本文化。)親しまれている方で、破格の器を窺わせる多くの逸話が遺されておりますので、興味を持たれた方は是非インターネットであるいは図書でそのエピソードに触れてみてくださいませ。
少しだけ、の脱線が長くなりました。
懐かしい本を引っ張り出して「万葉集」に戻りますと、この出典となった「巻第五」は家族を慈しむ心を詠んで始まります。巻頭の歌ではないのですが、次の歌。
『 銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも (万葉集巻第五・八〇三)』
中学・高校時代に聞いた覚えがありませんか?それから貧窮問答歌(ひんきゅうもんどうか)、遠い記憶が呼び起こされますが、こちらも同じく巻第五に収められているのです。
安倍首相が会見で話されていた「様々な立場」、梅の会だけでなく「巻全体に及ぶ」というのはこの辺りの説明というわけですね。
現在の日本の社会に向けられた、新元号を提案された方の眼差しに心を打たれます。
平成の残りひと月が平和でありますように。
令和の名のもと新しい時代が、成熟した秩序によって保たれる理性的な幸福を成し得ますように。
祈りを込めて。